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LEGEND OF FUTURE

動物好きな自称よろず創作家・TechpanCreateによる、思弁的進化をテーマにしたブログ。

Vupia


ヴーピア(プリオドントコルヴス・グラシリス)

分類*鳥綱 燕雀目 モノノケカラス科
棲息時代*近未来(今から一億年後)
大きさ*全長2~3m、体重20~35kg
棲息地域*世界各地。高山、海洋を除く殆どの地域

概要*

カラスが地上性の生き物として進化した生物。

体は大型化し、地上を素早く移動する為に脚が頑丈に発達した。バランスを取る為に尾羽は硬く長くなった。嘴の縁の部分が牙を思わせるような荒い鋸状になり、噛む力が強くなった。他方、空を捨てた為に翼は萎縮して飛翔能力を失い、嘗て風切羽だった羽毛の一部…正確には羽軸(うじく)の部分…が肥大化してカギツメのような構造に進化し、捕食活動にひと役買うようになった…これらの進化の結果、先祖のカラスとは似ても似つかぬ姿に変貌を遂げ、その印象は寧ろ彼等の遠い先祖である小型肉食恐竜に酷似している。

数羽から数十羽、多い時には100羽を超える大集団で生活する。但し群れに特定のリーダーは存在せず、一見規律正しく移動する群れも実際は各々が本能的に動いているに過ぎない。餌は小型の動物やその屍骸。小型の獲物は牙状突起がついた嘴で噛み殺し、大きめの獲物は翼のツメも攻撃の武器に使う。時には集団で大型の獲物を狩る事もある。

卵生、体内受精。草を厚く積み重ねた粗末な巣に、一度に数個の卵を産卵し、子育てはメスのみで行う。通常、子供を持ったメスは群れから離れる事が多い。生まれたての無防備な雛は共食いの犠牲になり易いからである。

過去の記事を編集しようとして、消す必要の無い記事まで消してしまいました…。

今日はもうショックで再度投稿する気力が無くなってしまったので(苦笑)、更新はまたの機会にします…。

嗚呼、勿体無い事をした…。

Odobenornis


オドベノルニス(オドベノルニス・トリロフォリンクス)

分類*鳥綱 鴫鴎目 セイウチドリ科
棲息時代*近未来(今から一億年後)
大きさ*全長最大4m、体重最大1t
棲息地域*北半球の海洋

概要*

一見するとペンギンの進化系のようにも見えるが、ペンギンとの類縁は無く、現生のウミスズメ類から進化した大型の海生鳥類。

セイウチを思わせるような巨体の持ち主。勿論、飛ぶ事は出来ない。

然し、翼は硬い鰭に変化し、流線型の体型とも相俟って海中を素早く泳ぐ事が出来る。

最大の特徴は上嘴に牙状の突起が一対ある事で、この『牙』と太く頑丈な嘴を用いて、主食である海底や岩礁に潜む貝類を狩る。砂の中に潜む貝は『牙』で掘り起こし、岩礁にへばり付く貝は嘴の先端を器用に操って引き剥がす。

卵生、体内受精。交尾は水中で行われ、卵は孵化寸前まで体内に留められた後、メスが陸地に上陸して産み落とす。雛は孵化後、数日で換羽が完了し、間も無く親について泳ぐようになるが、餌の捕り方等を覚え、自立するのには1年ほど掛かる。

Shooting Spider

シューティングスパイダー

分類*蛛形綱 蜘蛛亜綱 蜘蛛目 ハンモックスパイダー科
棲息年代*2億年後
大きさ*体長7~10㎝

棲息地域*南部森林地帯(川縁の明るい樹幹部)
概要*

網を張って獲物を待ち構えるライフスタイルから進歩して、自ら積極的に獲物に攻撃を仕掛けるよう進化したクモ類。ジョロウグモやコガネグモなどの網を張るクモから進化した。

著しい形態の変化は無いが、やや腹部が細長く、糸を出す疣状突起が筒のように長く発達している。

このクモは、2種類の糸を分泌する事が出来る。ひとつは先祖のそれと同じ弾力性の高い細い糸で、巣を作ったり枝から降りる際の命綱を作るのに用いる。もうひとつはトリモチのような、スライム状のどろどろした塊状の糸である。この粘着質の特殊な糸が、シューティングスパイダーの最大の武器だ。

通常は樹幹部の、水面に張り出した枝に普通の糸を用いてハンモック状の巣を作り、其処に潜んでいる。

獲物は空中を飛ぶ小昆虫や、水面に姿を見せる様々な小動物。

狩りの際は腹部を曲げて頭部の傍まで持ち上げ、狙った標的に糸の噴出し口を向け、正確に糸を打ち付ける。そして、糸に絡め取られて自由を失った獲物をゆっくりと巣に運び込み、捕食する。

また、外敵に対してはこの粘性の糸を素早く打ちつけて視界を奪い、相手を無力化して逃走する。

卵生、体内受精。卵はハンモック状の巣の中に産み落とされ、孵化した稚グモは間も無く独立し、腹部の卵黄を頼みに1年近く絶食して成長する。糸を正確に標的に発射するには熟練の技術が必要で、独り立ちしたばかりの稚グモの大多数が餌を捕れずに餓死し、または天敵から身を護れずに捕食される。そうした損失を、一度に多数の卵(300~600個)を産む事で補填している。

Vilmel (ひろうすさん謹製)


ヴィルメル(ユウゲンウミウシ)
分類*腹足綱 後鰓亜綱 後鰓目 ユウゲンウミウシ科
棲息年代*2億年後
大きさ*本体の全長は20メートル位

棲息地域*海洋(外洋部)
概要*
ウミウシの仲間から進化した巨大な海の生き物。単独生活者で、普段は海の表層で潮流に身を任せ、ただプカプカ浮かんで過ごす。
ヘビのように細長い胴体を持ち、その全身から分泌されるゼラチン状の粘液が本体を分厚く取り囲んでいる。

この粘液は捕食者の襲撃や潮流の変化など、僅かな刺激で分泌が過剰になり、時にはそのゼラチン質が本体の2倍の容積までになる事もある。

外敵に襲われても積極的に反撃もしなければ大急ぎで逃亡もせず、ただひたすら粘液を分泌する為、捕食者の牙はなかなか本体まで届かず、大抵の場合は諦めて去るか、若しくは粘液だけで満腹になって攻撃を停止してしまう。

この粘液を速やかに分泌する為、分泌腺の発達により生殖器官が退化しており、1年に1度、分裂によって個体数を増やす。
全身に複数種類の藻類やバクテリアを寄生させており、時折海水と共にそれらを体内に取り込んで栄養を得ている。

(解説・イラスト原案*中華的熊猫 CG製作*ひろうすさん)


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川崎 悟司さんの「古世界の住人」様に投稿・採用して頂いた未来生物です。

投稿に際し、同サイトの常連様であり、クオリティの高いCGや立体造形を手掛けられていらっしゃる、ひろうすさんに美麗なCG画像を製作して頂きました。

この場を借りて篤く御礼申し上げると共に、転載許可を下さった事にも深い謝意を表したいと思います。

本当に有難う御座いました。

Kivungo

キブンゴ(ディアコンクス・マクロリンカ)

分類*鳥綱 鶴水鶏目 クイナ科
棲息時代*近未来(今から500万~700万年後)
大きさ*全長80~105cm、体重4~4.5kg
棲息地域*アフリカの沼沢地帯

概要*

クイナ、特にバンの仲間の子孫。体に比べて非常に大きな頭部と、分厚く頑丈な嘴を持っているのが特徴。嘴は発達した筋肉に支持され、非常に噛む力が強い。また、大型化した頭部と釣り合いを取る為に体は非常に骨太で、尾羽が硬く長いのも特徴。

先祖のバンは何でも食べる雑食性の鳥だったが、キブンゴは先祖が食べていた様々な食餌の内、淡水性の巻貝を食べる事に特化した。分厚い嘴はその為の適応。

眼と鼻腔には特殊な膜があり、水中に顔を突っ込んで餌を探す際に閉じる仕組みになっている。この為水中でも視力を制限されず、また鼻腔から水が入る気遣いも無い。長い足指には鋭敏な神経が張り巡らされており、これで泥中の巻貝の僅かな動きもキャッチし、一気に巨大な頭部を水中に突っ込んで獲物を捕らえる。探り出した巻貝は巨大な嘴で丸ごと噛み砕き、嚥下する。消化し切れなかった殻の破片は、後でまとめてぺリットとして吐き出す。

先祖と比べ大きな体と、不釣合いに長い脚部は、餌の巻貝を探す為に比較的水深の深い地域を歩く為の適応のようだ。

卵生、体内受精。粗雑な巣をヨシの茂みに作り、数個の卵を産卵、雌雄交替で温める。孵化した雛も雌雄で面倒を見る。

Mousquid

マウスクイド(ムステウシス・ヴィルガートゥス)
分類*軟体動物門 頭足綱 十腕目 サカナイカ科
棲息年代*2億年後

大きさ*全長10㎝程度
棲息地域*海洋(沿岸部の浅い地域)

概要*

サーディン・スクイド(その項参照の事)に近縁の魚類様イカ類。

沿岸部の浅い地域に数百匹程度の群れで生活し、群集性は近縁種に負けず劣らず強い(但し群れの規模は小さい)。群れの同調性は極めて強く、あたかも一個体の大きな生き物が蠢くかの如く規律の取れた泳ぎをする為、現生の海水魚「ゴンズイ」に因んで一名「ゴンズイイカ」とも呼ぶ。

サーディン・スクイドと比較すると体は小さいが、相対的に長い触手を持つ。また、胸鰭様の職腕に鋭い棘を持つのも特徴。これは護身用の武器になると思われる。流石に丸呑みにするような豪快な捕食法を取る生き物にはあまり効果が無いが、彼等の住んでいる浅い海域にはそうした大きな捕食者など滅多に侵入して来ないのだ。

餌は砂の中に潜むゴカイ等の小動物。長い触手で砂を探り、見つけると掘り起こして捕食する。

卵生、体外受精。繁殖形態は近縁種に酷似。


Sardine Squid


サーディン・スクイド(サルディニオテウシス・アルギロペルテス)
分類*軟体動物門 頭足綱 十腕目 サカナイカ科
棲息年代*2億年後

大きさ*全長15~20㎝程度
棲息地域*海洋(日当たりが良くプランクトンが豊富な沿岸部を特に好む)

概要*

イワシやニシンと言ったプランクトン食の小型魚類の生態的地位に進化したイカ類。
1対の触腕は魚で言う胸鰭に、外套膜の鰭はそれぞれ背鰭と尻鰭に似た形状に進化し、更に外套膜の先端に尾鰭に当る器官が出来た(この肉体の大改造は飽くまで表面的なモノで、内臓などは先祖のイカとさして違わぬ構造をしている)。この「鰭」を用いて非常に素早く泳ぐ。他方、先祖のイカが移動の一助に用いていた「漏斗」は退化して痕跡程度しか無い。この為、先祖のイカ類が得意とする、漏斗から水流を噴出す事による前後両方に進める泳法を、サーディン・スクイドは行う事ができない。また、墨を吐く能力も退化している。

4対の触手はやや短く、鉤状の細かい吸盤が付いている。
数千匹に達する大群で生活し、餌は主にプランクトン。4対の触手を大きく広げて鉤型の吸盤でプランクトンを引っ掛け、口に運ぶ。
卵生、体外受精。産卵時は魚類のように、一度に数万個にも及ぶ微細なタマゴと精子を泳ぎながら放出する。数年程度の寿命の間に数回の産卵が可能。繁殖力が強く常に群生している為、大型の捕食者達にとっては格好の餌である。

Domestic Larva

ドメスティック・ラーヴァ
分類*節足動物門 昆虫網 甲虫目 カンケツセンチュウ科
棲息時代*2億年後
大きさ*全長30~45cm

棲息地域*北部砂漠地帯
概要*

飛翔力を失い、地上での生活に適応した肉食性の甲虫。南部森林地帯に広く棲息するゲイザー・ウォーム(その項参照の事)に近縁。羽は全く退化しており、芋虫状の体には外皮がはちきれる程の体液が詰まって非常にぶよぶよしている。オスの存在しない単為生殖(メスだけで繁殖する能力を持つ事)で、特定の産卵期を持たず、24時間いつでも産卵が可能だ。

彼等の分布は、砂漠のオアシスに巨大なコロニーを構えるアリクワガタ(その項参照の事)の分布と一致し、それ以外の場所では見る事は出来ない。何故なら彼等はアリクワガタの巨大な巣の中、それもアリクワガタが仲間の屍骸を廃棄する「ゴミ捨て場」にしか棲息せず、アリクワガタが提供する餌…仲間の屍骸だけを食べて生きる動物だからである。

アリクワガタは数億匹からなる群れで生活し、巣の周囲の藻類や菌類を採取したり、広大な巣の中に侵入する他種の虫を殺して食料にする。群れの規模が大きい故に毎日出される糞や仲間の屍骸などの「廃棄物」は膨大な量になり、それを狙って死肉食性の虫が多く集まってくる。アリクワガタは相手の大きさ、危険度に応じ、ある者は群れで撃退し、ある者は殺してその肉を食べる。ドメスティック・ラーヴァは後者の典型であり、長年の進化の結果、アリクワガタの屍骸のみを食べる道を選んだ。

アリクワガタの外殻は非常に分厚いクチクラ層で覆われており、巨大サイズの捕食者なら兎も角、同等のサイズの動物には手に余る代物である(アリクワガタ自身ですら噛み裂く事が出来ない。これは共食いを防ぐ効果があるようだ)。然し、ドメスティック・ラーヴァは特殊な消化酵素でこれを処理する事が可能であり、結果、アリクワガタが毎日専用の「ゴミ捨て場」に廃棄する仲間の屍骸を独占して食べる事が出来る。

栄養を多量に摂取した彼等は毎日タマゴを産み、爆発的な勢いで数を増やす。然し、それがアリクワガタの個体数を圧迫する事は絶対に起こらない。アリクワガタは時には彼等が産み落としたタマゴを、ある時はタマゴから孵ったばかりの幼虫を、ある時は十分成長したサナギを、時には丸々と太って身動きもままならなくなった成虫を襲い、殺して食料にしてしまうからである。その際、アリクワガタは群れの全てを殺す事をせず、必ず数匹は生かして残しておく。此処まで来ると、共存と言うよりはアリクワガタがドメスティック・ラーヴァを家畜同然に扱っているようにすら見える。奇妙な共存関係と言わざるを得ない。若しアリクワガタのコロニーに壊滅的なダメージが与えられ、コロニーの維持が不可能になると、多くのドメスティック・ラーヴァも共倒れになる。

また、コロニーが分家される際には、幾つかのドメスティック・ラーヴァのタマゴも、分家したアリクワガタの群れと共に外部に持ち出される。持ち出されたタマゴは新しいコロニーで孵化し、其処で新たな屍骸処理の役目を担う事になるのだ。

Harrier Shrike

ハリアー・シュライク(ビュテオラニウス・ロンギペス)

分類*鳥綱 燕雀目 チュウヒモズ科
棲息時代*近未来(今から500万~700万年後)
大きさ*全長80~95cm(但し尾羽の長さ35~40cm)、翼開長180cm、体重3~3.5kg
棲息地域*北アメリカの草原地帯

概要*

モズが進化した未来の猛禽。大きさはカラスよりやや大きいくらいだが、尾羽と脚が相対的に長いので実際より遥かに大きく見える。発達した翼を持ち、飛翔能力は高い。

所々に潅木が点在するような地域に広大な縄張りを構えて暮らし、通常つがいか単独生活。潅木の頂や大きな岩の天辺などに陣取って視覚で獲物を探す。獲物は自分の体重より軽い小動物なら何でも。

嘴は強力だが、脚は獲物を押さえつけ、引き裂くには脆弱。その代わり、彼等は捕らえた獲物を樹上まで運び、木の枝に突き刺して固定し、それから嘴を使って獲物を引き裂く。これは先祖がよく行っていた「早贄」(はやにえ)の習性の名残であろうと思われる。ハリアー・シュライク自身が早贄を行う事は無い。

卵生で、一度の産卵数は3~4個程度。獲物の条件にも拠るが、猛禽にありがちな雛同志の殺し合いは殆ど見られず、外敵に教われない限り雛は親の愛情に育まれて育つ。